ことばのさすらい
~「俳句」と「異文化」による出会い~

この一句

初山河一句を以つて打ち開く

初山河一句を以つて打ち開く

長谷川櫂

 元日を迎えて眺める山河には、ことさら新鮮に映じ、格別の情趣があります。一年のはじまりに新たな気持ちになるからでしょうし、淑気が満ち、新年をことほぐ気持にもなるからでしょう。

 この句、「一句を以つて打ち開く」とはすごい気合です。新年の山河をいっそうめでたく、晴々とさせるというのです。山河がますます大きく、広がっていく感じがします。正月から俳句に向き合う覚悟が伝わり、思わずこちらも襟を正す思いです。

 作者は長谷川櫂さん。第七句集『初雁』所収。高浜虚子の「春風や闘志いだきて丘に立つ」にも通じる俳人の志の高さを感じる句です。私の場合、ときどきはこういう句を詠んで渇を入れる必要がありそうです。                       (2026.01.11 【19】)

筆者紹介

仲 栄司

Eiji Naka

大学でドイツ語を学び、1982年、日本電気(株)に入社。退職まで一貫して海外事業に携わり、ドイツ、イタリア、フィリピン、シンガポールに駐在。訪問国数は約50カ国。
趣味は俳句。『ダリの時計』(句集)、『墓碑はるかなり』(評論)を上梓。
座右の銘は「南国のしあはせバナナあれば足る」
東南アジアの「空気感」が大好きです。