気がつけば頭上に国家雪催ひ
仲 寒蝉
ウクライナ戦争、ガザ地区へのイスラエル軍の侵攻、存立危機発言からの台湾有事問題、アメリカのベネズエラ攻撃による大統領拘束と不安定な国際情勢が続きます。国家の役割、主権のあり方などいろいろと考えさせられます。第二次世界大戦の頃は軍事が重要でしたが、これだけ人々の活動がグローバルに展開していると、経済が主権を左右するなと感じます。国家を揺るがす手段が武力から経済、技術、情報へと広がり、経済安全保障が今や国家の最重要課題となっています。
この句に接したとき、俳句でも国家のことが詠めるんだと思いました。なるほど言い得て妙。国家という存在は、日本にいるとふだんはあまり意識しませんが、気がつけば頭上を覆っている感じがあります。どんより曇って、今にも雪が降り出しそうな不穏さ。他の国ではもっとそういう感覚に陥るかもしれません。
この句は仲寒蝉の第二句集『巨石文明』に所収。作者の戦争への反発や旺盛な反骨精神は、第三句集『全山落葉』でも衰えません。「国家からすこし離れて葱坊主」「踏みにじる菫は戦車から見えず」「戦争は静かに来るぞ木の芽雨」など。作者はあくまで庶民の側に立ちます。
予断を許さぬ国際情勢。今後ますます国家を意識していくことになりそうです。そういう視点からも俳句を詠んでいきたいと思います。 (2026.01.07 【18】)