切干やいのちの限り妻の恩
日野草城
第七句集『人生の午後』所収。昭和二十四年作。この句は、草城が肺炎や肋膜炎などを併発し、長期の療養生活を送っていた時期に詠まれました。切干大根のような貧しい食事の中でも介護する妻への恩義を深く感じる作者の姿が目に浮かびます。
10月24日(金)のゆいグローバルのセミナーで、「海外生活は気づきの宝庫」と題して登壇しました。俳句の要素を加味しながら海外の体験談を語りました。そのとき、仕事に集中できたのも奥さんの協力あってのこと、つくづく妻の恩を感じましたと述べ、この句を紹介しました。特にドイツ時代は新婚で、一番苦労が多かったので、「酢キャベツや生あるかぎり妻の恩」とこの句を換骨奪胎しました。「酢キャベツ」はドイツ語では「ザワークラウト」といい、ドイツ料理の名物です。セミナー終了後、親友や海外駐在経験者から日野草城の句が印象に残ったとのコメントが寄せられました。季語と中七下五との響きがつくづく心に沁みます。 (2025.11.01 【2】)