てのひらをすべらせたたむ花衣
西宮舞
「花衣」とは、花見に行くときに女性が着る晴着のことです。杉田久女の句に「花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ」という有名な句があります。かなり激しい心模様が伝わってくる句ですが、この句は、静かな心模様を感じさせてくれます。
花見を終えたあとでしょうか。何気ない仕草の中に作者の心の華やぎが感じられます。ただ畳んだのではありません。「すべらせ」という措辞により、「花衣」に対する肌触りまでが伝わってきます。また、花見の余韻が残り、静かに味わっている作者の姿が見えてきます。
上五中七をひらがなで表記しているのも心地よく、「花衣」の質感が伝わってきます。「花衣」を「すべらせ」ることで、「花衣」を奏でているようにも思え、美しい旋律が聞こえてくるようです。
今年もそろそろ寒さが緩和されるでしょうか。四月を待たず、桜の季節を迎えることになるかもしれません。あとひと月です。 (2026.02.20 【26】)