ことばのさすらい
~「俳句」と「異文化」による出会い~

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エッセンス【グローバルの窓】(1)~Scope of Work(業務範囲)~

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エッセンス【グローバルの窓】(1)~Scope of Work(業務範囲)~

「Why did you steal my job?!(なんで私の仕事を盗んだの?!)」

 私の最初のカルチャーショックだったかもしれません。ドイツ出張時の出来事。「先輩社員をサポートして来い」と2か月間、デュッセルドルフに張り付いたときのある日のことでした。オフィスには秘書と私だけ。先輩社員が出張でいないので、メールが山のように押し寄せ、秘書はパニック状態。見かねた私は黙ってメールの一部を処理しました。それが彼女の逆鱗に触れたのです!

 「盗むなんてありえない。困っていると思ってやっただけだよ」と言いましたが、秘書は聞く耳を持ちません。「それは私の仕事!あなたがやることではない!」とカンカンです。頭から湯気が上がっていました。

 私の行為は、プロジェクトでいうところの「SOW(業務範囲)」を逸脱したということです。ドイツでは、「Job Description」といって、一人ひとり契約書を交わし、それに基づき役割や責任範囲が決まり、給与が支払われます。業務範囲を犯す行為はうまくないのです。とはいえ、状況に臨機応変に対応するのも大切だと私は今でも思っています。この場合、まず「何か手伝いましょうか」の一言があるべきだったと反省しています。もっとも、そう聞いたところで秘書は「No thank you!」と一刀両断だったでしょう。それでいいのです。異文化同士だからなおのことコミュニケーションが大切だと思います。【第1話ご参照】

筆者紹介

仲 栄司

Eiji Naka

大学でドイツ語を学び、1982年、日本電気(株)に入社。退職まで一貫して海外事業に携わり、ドイツ、イタリア、フィリピン、シンガポールに駐在。訪問国数は約50カ国。
趣味は俳句。『ダリの時計』(句集)、『墓碑はるかなり』(評論)を上梓。
座右の銘は「南国のしあはせバナナあれば足る」
東南アジアの「空気感」が大好きです。