俳句エスプレッソ(4) ~「一物仕立て」と「取り合わせ」~
- 俳句エスプレッソ
俳句には大別して、「一物仕立て」と「取り合わせ」があります。「一物仕立て」の句は、一句を一つの素材でまとめた句をいい、対象そのものをよく見て詠みます。「翅わつててんたう虫の飛びいづる 高野素十」「一枚の餅のごとくに雪残る 川端茅舎」といった句で、季語そのものを詠みつつ、そこに作者の発見、真実が宿ります。
「取り合わせ」の句は、一句の中に二つの素材を配合する手法となります。「芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏」「秋風や模様のちがふ皿二つ 原石鼎」といった句で、前者は近景と遠景の取り合わせ、後者は秋風という季語が心境を象徴しています。
「取り合わせ」の句は、作者の中で二物の響き合いがありますが、その響き合いに何らかの普遍性がないと読者の共感を得られず、独りよがりに陥る危険性があります。逆に共感が得られた句は、その響き合いが広がりと奥行きをもたらし、大きな詩的空間を生み出します。
「人間探求派」と呼ばれた三俳人の俳句は、一句一句が人間や人生の寓意を成しています。二物を衝撃させて切れをつくり、詩を生み出します。「勇気こそ地の塩なれや梅真白 中村草田男」「初蝶や吾が三十の袖袂 石田波郷」「蟇誰かものいへ声かぎり 加藤楸邨」という具合です。
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