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エッセンス【グローバルの窓】 (11) ~自分のアイデアを持つ~

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エッセンス【グローバルの窓】 (11) ~自分のアイデアを持つ~

 「What is your idea? 」

 ファックス商品のディーラーミーティングでのことでした。当時、ドイツのファックス事業は、数パーセントの市場シェアしかなく、パナソニックなどの競合他社の後塵を拝していました。我々は起死回生を狙い、パナソニックの最有力ディーラーの採用に成功、ディーラーミーティングに参加してもらいました。

 ミーティングが終わるや、私はそのディーラーの席に行き、「どのようなプロモーションが有効と思うか?」と聞いてみました。そのときの答えが冒頭の言葉です。実際には、「それを考えるのがメーカーだろ。こっちはそれにしたがい売るだけ。逆にお前にアイデアはないのか?」という切り返しの言葉でした。このとき言われた「What is your idea?」は、強烈に私の心に残りました。

 言われてみればそのとおりです。海外では、自分のアイデアを持って臨まないと相手にされません。日本では上司任せで済んだり、なんとなく部門全員で悩んだりして済んでいましたが、海外はちがいます。まして私は売ってもらう側のメーカーなので、「戦略もないのか」という指摘だったのです。さらに私はマネジャーでしたのでなおさらです。マネジャーでアイデアがない、判断できない、というのは話にならないのです。集団主義の日本と個人主義の欧州の違いを痛感する経験でした。この出来事があってから、私はミーティングに臨むときは自分の意見を持つように心掛け、意見を言うときは「We」よりも「I」を使うようになりました。  【第11話ご参照】

(ご参考) ~市場シェアの意味~

 当時のドイツのビジネスは、プリンタやディスクドライブの市場シェアが30%前後で市場のリーダー的立場でした。一方、ファックスは弱小メーカーの1社という状況でした。市場シェアというのは、その企業の立ち位置をはっきりさせるメルクマールです。

 私の中での市場シェアの感覚は、5%のシェアを獲ってはじめて市場から認知されます。それでも強風が吹けばすぐに吹っ飛びます。10%のシェアを獲るとそれなりに市場に対して発言権が得られます。20%のシェアですと市場をリードできます、30%のシェアともなると市場を完全に牽引でき、次々と斬新なビジネスのアイデアを打ち出すことができます。

 ドイツで高シェアと低シェア両方のビジネスを経験をしたことから、市場シェアの意味を肌身で感じることができました。

筆者紹介

仲 栄司

Eiji Naka

大学でドイツ語を学び、1982年、日本電気(株)に入社。退職まで一貫して海外事業に携わり、ドイツ、イタリア、フィリピン、シンガポールに駐在。訪問国数は約50カ国。
趣味は俳句。『ダリの時計』(句集)、『墓碑はるかなり』(評論)を上梓。
座右の銘は「南国のしあはせバナナあれば足る」
東南アジアの「空気感」が大好きです。