俳句エスプレッソ(11) ~客観写生とは~
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高浜虚子は、その指導理論として、「花鳥諷詠」とともに「客観写生」を確立しました。「写生」については、第3回で書きましたが、今回は、虚子のいう「客観写生」について簡単に触れておきます。
「客観写生」ということばを聞くと、「見たものをありのままに写すこと」と思ってしまいますが、虚子のいう「客観写生」はそうではありません。そもそも「写生」とはじっと眺め入ること、そして、じっと案じ入ることです。じっと案じ入ることで、対象が自分の心と溶け込み、自己を否定し、存在の本質に迫ります。いわば、主観と客観が混じり合う、「主客合一」の状態をめざすといえるでしょうか。
「うちに深く主観を蔵して、客観に起り来る現象に常に心眼を開いてゐねばならぬ」ということです。客観を写しながら、内に主観の滲み出るもの、それが虚子のいう「客観写生」だと思います。たしかに同じものを詠んでも作者によって違った見方が現れ、俳句も異なった作品になります。「客観」の意味は、「心を対象に溶け込ませること」「主観を蔵すること」と解釈するとわかりやすいかもしれません。
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