ことばのさすらい
~「俳句」と「異文化」による出会い~

この一句

春の風邪こんぺいとうが効きました

春の風邪こんぺいとうが効きました

田邊香代子

 「こんぺいとう」とは懐かしいお菓子。砂糖と水分を原料にした和菓子で、小さいので一口で食べられます。また、凹凸状の突起の歯ごたえも独特です。語源はポルトガル語のコンフェイト(糖菓の意)で、伝わったのは戦国時代という説もあるようです。明治時代は裕福な家庭のお菓子でした。

 「春の風邪」は、温かくなったからと油断をしてひく風邪で、どこか間が抜けています。あまり深刻さが感じられず、病気という気がしません。こうした感覚をこの句はうまく表現しています。風邪薬など大仰で、「こんぺいとう」を食べればたしかに治りそうだと思ってしまいます。俳諧味が効いていて、季語の本意をうまく押さえています。

 金平糖は、今でも駄菓子屋やスーパーで売っていて、ちょっとした贈り物によさそうです。色合いがよく、見た目もかわいらしいです。定番のフルーツ味からチョコ味、お茶風味までバリエーションも豊富です。カリカリとした食感は心地よく、見ても食べても楽しめます。この句に触れて久しぶりに金平糖を食べたくなりました。          (2026.02.03 【24】)

筆者紹介

仲 栄司

Eiji Naka

大学でドイツ語を学び、1982年、日本電気(株)に入社。退職まで一貫して海外事業に携わり、ドイツ、イタリア、フィリピン、シンガポールに駐在。訪問国数は約50カ国。
趣味は俳句。『ダリの時計』(句集)、『墓碑はるかなり』(評論)を上梓。
座右の銘は「南国のしあはせバナナあれば足る」
東南アジアの「空気感」が大好きです。