ことばのさすらい
~「俳句」と「異文化」による出会い~

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俳句エスプレッソ(8) ~花鳥諷詠とは~

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俳句エスプレッソ(8) ~花鳥諷詠とは~

 「花鳥諷詠」の「花鳥」とは、自然界全体を表すことばです。「諷詠」とは、それとなく示し、うたうことで、直接感情を述べるのではなく、自然をとおして心を静かに表現したり、にじませたりすることをいいます。「花鳥諷詠」は高浜虚子が唱え、虚子の俳句観を表しています。

 <俳句は自然(花鳥)を詠い、又、自然(花鳥)を透して生活を詠ひ人生を詠ひ、又、自然(花鳥)に依って志を詠う文芸である>(虚子『俳句への道』)

 虚子は「花鳥諷詠」が自然・人生のすべてを包摂する秩序であることを確信していました。<花鳥(自然)諷詠といふ事は俳句それ自身の謂である>ともいいます。自然を詠むことだけが「花鳥諷詠」ではありません。「去年今年貫く棒の如きもの」という虚子の句をみればそれは明らかです。表層的には人間を詠んでいませんが、自然や事物の奥にある人間の心や生のあり方を詠んでいます。

 「花鳥諷詠」は虚子の俳句観そのものであり、俳句は人の生死、月日の運行、花の開落、鳥の去来など一切の現象を説明する哲学たり得るものなのです。

 

筆者紹介

仲 栄司

Eiji Naka

大学でドイツ語を学び、1982年、日本電気(株)に入社。退職まで一貫して海外事業に携わり、ドイツ、イタリア、フィリピン、シンガポールに駐在。訪問国数は約50カ国。
趣味は俳句。『ダリの時計』(句集)、『墓碑はるかなり』(評論)を上梓。
座右の銘は「南国のしあはせバナナあれば足る」
東南アジアの「空気感」が大好きです。