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エッセンス【グローバルの窓】(3) ~核となる現地の人材雇用~

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エッセンス【グローバルの窓】(3) ~核となる現地の人材雇用~

 デュッセルドルフのアルトシュタット(旧市街)で飲んだアルトビア(黒ビール)は私にとって忘れられないビールです。夏の夜、毎日のようにハーターと語り合いました。入社3年目のことです。

 ドイツの現地法人設立に先行して、我々はディスクドライブのセールスマネジャ―、ハーターを雇用しました。彼の入社、8月1日めがけて私は長期出張(2か月)を命じられました。「今後どのようにビジネスを展開するかよく話をし、ハーターをサポートして来い」というのです。

 ドイツの現地法人はミュンヘンに設立予定。だだ、この時点ではホームエレクトロニクス系の現地法人に間借りするかたちで、我々はビジネスを細々と展開していました。ハーターはミュンヘン在住でしたので、平日はデュッセルドルフ、週末はミュンヘンという生活。だから、平日は毎晩、アルトシュタットに繰り出して語り合いました。ビジネスのこと、ドイツのこと、日本のこど、プライベートのことなど。

 ハーターは、「半年は受注ゼロの状態が続くが、そのあとは必ず受注を獲る。100億円のビジネスも難しくない」と自信満々に言います。「Mr.Nakaは日本の事業部サイドを引っ張ってくれ。俺は市場、顧客をどんどん開拓する」と言うハーター。アメリカの会社で勤務していた彼は、本社と現地の役割を十分理解していました。彼の人柄を知れば知るほど、私の彼に賭ける思いは拡大していきました。

 実際、ビジネスはハーターの予言どおり、半年後からおもしろいように受注が入り、2年後には100億円の売上を達成。おまけにハーターはイタリアやオランダなど他の欧州諸国にも人脈があり、彼のネットワークを活用して各国の雇用を推進、ビジネスはどんどん大きくなりました。

 このことは日系企業がビジネスを立ち上げる際の貴重な経験となりました。まず、「核になる現地の人材を雇用」すること、それから「現地人、日本人の役割を分担」すること、この2つが功を奏したのだと思います。もちろん、そのベースに現地人と日本人との信頼関係があったことは言を俟ちません。

 【第3話ご参照】

 

 

筆者紹介

仲 栄司

Eiji Naka

大学でドイツ語を学び、1982年、日本電気(株)に入社。退職まで一貫して海外事業に携わり、ドイツ、イタリア、フィリピン、シンガポールに駐在。訪問国数は約50カ国。
趣味は俳句。『ダリの時計』(句集)、『墓碑はるかなり』(評論)を上梓。
座右の銘は「南国のしあはせバナナあれば足る」
東南アジアの「空気感」が大好きです。